切られた腕を見ながら呆然としている別人類の首が、まるでボールか何かのように地面に転がった。
ひぃ、と別な意味での悲鳴が女性から上がる。
5メートルも上の、化け物の頭を切り落としたのは、涼しい顔で地面に着地した藍生だった。
その手には長い刀が握られており、刀身には黒い体液が付着していた。
「え…!?」
「どいてろ」
藍生は、呆然としている薫の前に立つと、地面に倒れ伏した別人類の体を切り裂いた。
行動の意図がわからず、薫はあまりに惨い光景に絶句する。
切り裂かれた胴体から、藍生は何かを掴み出した。
「あ…」
薫は解放されたように声を発した。
現れたもの――それは、消化液で汚れてはいるものの、先ほどこの化け物に飲み込まれた子どもであった。
おそらく丸呑みだったため、無事に生きながらえたのだろう。母親が汚れるのも構わずに子どもを抱きしめ、後からやってきた駐在の兵士に連れられてシェルターへと避難していく。
「おい、こいつはどこから湧いて出やがった」
藍生が低く唸る。すると、兵士は蒼白な顔で言った。
「2丁目の防壁が破られたと…先ほど連絡がありました」


