ア オ イ




中は明るく、青空が広がっている。

春の陽気のように暖かく、街は人々で賑わっている。建物も綺麗に整備され、ここは薫の暮らしていた“日本”と代わらない気がした。


「これは…」

「このドームに人工的な青空を作っているんだよ。日の出もあるし、日の入りもある。朝昼夜もあるよ。常に新鮮な空気もあるし、植物も…それから野性動物も居る。そうだなー、君の時代の発展途上国より良い暮らししてるよ」


この差は何なのだ。

ドームの外は未確認生命体が蠢いていて、兵隊が命を落としているのに。

不気味な程に平和な世界に、薫は懐かしさすら覚えてしまう。

そのとき、周りに人が集まっていることに気が付いた。


「兵隊さんだ!」

「こら、やめなさい…」


無邪気な子どもをたしなめながら、母親らしき大人が頭を下げる。

親しみやすそうな幸の笑顔とは対照的に、藍生は仏頂面だ。表情筋が死滅しているのではなかろうか。