その日、薫は情報収集に乗り出した。
そこでわかったことがいくつかある。
この建物は、対別人類組織のもので、兵士や研究員など、別人類から人類を守るために日々奮闘しているのだという。
もちろん、別人類との戦闘で命を落とす者も多いらしく、今日までに何人もの兵士が犠牲になっているらしい。
幸はここの研究室で働いており、兵士の戦闘データや倒した別人類の死体の解剖を行い、その生態を調べている。
夕食の時間や何かもきちんと管理されているらしく、薫は組織の仲間たちと一緒に食卓に着くことになった。
「君が過去から来たっていう薫君か。俺は中村孝雄(たかお)。一応ここの兵士の中でも偉い方…かな?」
「どうも。谷崎薫です」
初老の男に握手を求められ、薫は思わず身構えた。しっかりと握られた手は、皮膚が固く、戦闘のあとが見られ、何となく胸が痛んだ。
「明日は街に調査に出ようと思うんだ。対別人類防壁の点検も兼ねて…。良いでしょ、藍生」
幸がシチューを口に運びながら言う。
「それは私に行って来いということか」
「良いじゃん、薫君も連れてさ」
「え、俺もですか?」
薫は突然のことに声を荒げてしまう。
「少しこの世界を見て行かないかい?」
相変わらず屈託なく幸は笑った。


