静かに、けれど心に突き刺さる言葉の数々。
直接的に薫が悪い訳ではない。それは、幸もわかっている。
けれど、この行き場のない感情を、どう表せばよいのだろう。この腐敗した世界で生きている人々に、何と声をかけるべきなのだろう。
薫には、何一つその疑問を解決する手立てが無かった。
外の騒ぎが収まった。と同時に、怪我人を思しき人々が担ぎ込まれてくる。
一人の青年が、眉をひそめて幸に駆け寄ってきた。
「今日はまだ小型だったが、やはり確実に、幸さんの言った通りのことが…」
「そう。やっぱりか」
薫は疎外感に黙り込むが、幸がそれを許さないとでもいうように、話を続けた。
「薫君。私たちは、奴らを別人類と称することにしたんだけど、奴らは間違いなく知能を持っていると考えた方が良い」
「それって、俺に何の関係があるんですか?」
何故、薫に話が振られたのかがわからなかった。素直に首をかしげて見せると、幸は小さく笑う。
「別人類はね、私たちに比べて嗅覚や聴覚が鋭いんだ。その代り、痛覚や視覚はほぼ無いみたいなんだけど…それでね」
先ほど幸に話しかけた青年の剣呑な視線が薫に刺さる。
「君はどうやら、私たちとニオイが違うらしい。奴らは君を狙って、しばらく活動するだろう」


