よく見れば、薫が寝かされていた部屋の他にも、建物にはたくさんの設備がある。
何やら慌ただしく、制服なのか同じ格好をした人々が建物を飛び出していった。
気のせいでなければ、戦車のようなものも車庫から出ていった気がする。
いったい、何だと言うのだ。
「君はここから出たらダメだよ」
幸が念を押すように薫の前に立ち塞がった。
薫は恐る恐る窓をみた。そして悲鳴をあげた。
「な、何だよ…あれ…!!」
窓の外には、昆虫のような形をしながら、人のように二足で歩行する、巨大な生物が蠢いていた。身の丈は三メートル以上にもなるだろうか、人間があまりにも小さく見える。
「あれは最近現れた謎の生物よ。恐らく、戦争で生き残った小さな生き物が、この数百年で荒れた環境に適応するために驚異のスピードで進化したんだ」
「あんな化け物…、知らねぇよ…!!」
薫は青ざめる。しかし、幸は至って静かな声で言った。
「そうかもしれないね。私も、初めて見たときは驚いたよ。けどね、薫君。あれを産み出したのは紛れもなく人間なんだよ」


