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《先日、M高校で生徒がいじめを苦に自殺した問題で――》


薫がテレビをつけたとき、真っ先にこのニュースが飛び込んできた。

最近ワイドショーをにぎわせている、もはや知らない人は居ないとまで広まっている、いわゆる“いじめ自殺”と呼ばれる問題だった。


(またかよ…)


薫は少し焦げ付いたトーストをかじりながら、うんざりした様子でテレビのリモコンを操作する。

いじめ自殺の話題で無ければ、また最近騒ぎになっている紛争のニュースがやっていた。

名前も知らないような人々が、爆撃や銃撃で命を奪われている。
建物が吹き飛び、瓦礫の山が築かれていく。

薫は他人事のようにそれらを冷めた眼差しで見つめ、テレビの電源を落とした。


ゴミをまとめ、登校途中にあるゴミ捨て場に可燃ゴミ用の袋を投げ捨てながら、薫は以前に担任が「戦争は最大の環境破壊だ」と言っていたのを思い出す。

そして、人間は歴史を繰り返すのだと。


「くだんね」


じりじりと照りつける太陽に舌打ちしながら、誰にともなく薫は吐き捨てた。