「うん、いるよ。」
ずっと、苦しかった。
だからもう、終わりにしよう。



私、鈴木紫乃。中学2年生。
今日、隣のクラスの私の友達の、横澤拓海に告られた。

明日、私は返事をすることになっている。


中学1年生の入学式、ヨコを見たとき、すごくかっこいい人だなって思った。
メアド交換して、学校でも挨拶とかして、お祭りもヨコの男友達と一緒に連れていいてもらったりした。すごく優しい人。


中学1年生の夏休み、優得先輩に出会った。
部活のエースで、大会で一番輝いてた。

すごくかっこよくて、クールで、だけどとっても、面白い人。

メアド交換してからはいっぱいしゃべるようになった。
私の好きなライトノベルを優得先輩も好きだったらしくて、さらに意気投合。

ほとんど毎日夜中までメールするほどの仲になった。
もっと先輩と話がしたくて、先輩が一番好きだっていうラノベを借りてみた。
だんだん私もそのラノベが好きになって、学校の休み時間、先輩の教室で語ったりした。
ラノベを返して、また借りるときに少しだけ触れる手にドキドキした。


初めて、本気で好きなった、本当に好きな人。


だけど先輩のメールはいつも無関心だった。
素っ気なくてクール。
たまに、ドキドキするような言葉を言ってくれるけど、そのうちどん底に落とされたりする。

先輩は、私のこと、女の子として、見てくれてないのかな。
先輩は、私に興味ないのかな。

先輩への想いが強くなればなるほど、私は苦しくなっていく。
苦しい恋。
早く、忘れてしまいたい。


ヨコを好きになれば、きっと、楽しいんだろうなって、何度も思った。
何度も、ヨコを好きになろうとした。
だけど、思い出すのは、優得先輩だった。


そんな時に、ヨコに告られた。
どうしたらいいか、わかんなかった。


『何度も、ヨコを好きになろうとした』


だから最後に、先輩にメールしてみたんだ。
ヨコには私が告白したことにした。
それで最後に、先輩に好きな人がいるかを聞く。

「先輩は好きな人いますか?」

心臓が苦しくて、頭がズキズキして、手が震える。
ぐっと力を込めて、送信ボタンをおした。
2分と経たないうちに返信が来た。

「うん、いるよ。」

やっぱり、先輩は私じゃない誰かを見てたんですね。
私があなたを想って、頑張ってきた今までは、ほとんど、無意味だったんですね。

辛くて辛くて、何度泣いたことだろう。
――だからもう、終わりにしよう。

そう思うと、涙が溢れた。
今までで、一番泣いた。


ああ、大好きだったなぁ。
最後まで、大好きだったよ。
結局、私の思いは伝えられなかった。

ああ、終わったんだな。



止まらない涙が、本当に先輩を好きだったことの、何よりの証拠だった。