花撫は暴れても無駄なことがわかっていたので、抵抗することなく、教科書の問題をそのままノートに書く。
 良幸は後ろからそれを抱きしめた状態で見ていた。

「さっき・・・・・・後輩がどうとか言っていたけれど、お前の成績は俺より低いじゃねぇか」
「やっ・・・・・・それは・・・・・・」
「この間も中学生に間違われていたしな」
「相手の視力が悪いのよ」

 一週間前、花撫が天気が良かったので、街を散歩をしていると、複数の中学生に声をかけられた。
 必死で遊びの誘いを断っているときに、店から出てきた良幸が彼らを追い払ってくれた。

「そんなに私を先輩と認めたくないの?」
「あちこち抜けているから、認めようがない」