空歌 -そらうた-





ディスプレイを見て、ため息をついた
優音がバルコニーにいた。


優音のところからは死角になって
音が良く聞こえる場所を見つけて
そこに腰かけると、
優音の声が聞こえた。




『はい。』

電話してる奴の、声は聞こえねえな〜。


『そうです。いかがなさいましたか?』

お、優音敬語じゃねえの。
めずらしくね?


『すみません。学校が忙しくて』

うお、謝ってるあいつとか
さらにレアじゃんか〜


『はい。あと少しですね』

ん?あと少し?なにがだよ


『ご期待に添えられるよう、今から私もがんばります』

なにをがんばんだよ〜。


『約束を果たさなくてはならないので』

‥約束、か〜。
ま、だれにでもあるよな〜

意味わかんねえな、話。
あ〜、タバコ吸いてえ。
話わかんねーから戻ろうかな、
なんて思っていた俺は
次の一言で固まった。


『‥あのときはありがとうございました』


また、"あのとき"かよ。

前先代たちも、優音が過呼吸に
なったとき[あのときとは違う]って
言ってたよな。



『はい』


『わかりました。ごきげんよう』


ピッ、プー プー プー



電子音が響く。

電話が終わったことを悟った俺は
布団の中にバレないように
もぐって考えてみる。




優音には、知られたくない過去が
あるらしい。

もう少し待って、って言われたしな。


でもやっぱ知りてえな。


もう二度と大事な人を失うようなことは
しねえって決めたんだ。
何か起こる前にちゃんと気づくって
誓ったんだ。

あの日守れなかった、アイツに
向かって。




そろそろアクション起こさねえと
ならねえな〜。



ああ、タバコ吸いてえ。






想side end