救急車、もうろうといた意識の中仰向けのまま動けない私。

運ばれた病院、誰かが…必死に叫んでいる。

男子だ。確か…

「市田…くん」

「内山?…内山!がんばれ、もうすぐ手当してもらえるから!」

何で…市田くんがいるの?なんで私運ばれてるの?確か…私は…

オモイダセナイ…


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頭が重い。それもそう。頭はギプスと包帯でぐるぐる巻き。

病室に横たわる私。

なんでこんなことになったのかな?全然記憶にない。

頭にけがを負っているってことは

鏡を見ても、いまだに残る痛みからも

理解できるんだけどな、、

お医者さんからの話によると、

私は誰かに何かで頭を強打されて、

重傷を負って

この病院に運ばれて手当を受けたらしい。

そのときに市田くんも一緒にいたらしいんだけど…

トイレに行ってたらしくて、そのとき私一人だったみたい。

でもなんで休みの日に市田くんと

一緒にいたんだろう??

その日は土曜日だったらしい。不思議でたまらない。

別に友達でも彼氏でもないんだけど…

市田くんとはあんまり話さないし…かかわりもないはず。

「真理ー!」

「やっほー♪来たよー!」

友達の山崎 海と遠山 咲子がお見舞いに来てくれた!

ってフルネームだけど(笑)、私は「うみ」と「さこ」って

呼んでる。

「うみ!さこも!どったん?わーうれしーなー!!」

「お見舞いに決まってるじゃん♪もう、今日意識が戻ったんでしょ?心配したんだからー」

「事故から1週間も意識が戻らないなんてね…。私たちもちょくちょくお見舞い来てたけど…」

「あっちは、毎日だもんね」

うみとさこが顔を見合わせて「うふふ」って笑った。

「えっ、何??他にもっと来てくれてた人でもいるの?幸せ者だなー私。」

「え、なにしらばっくれてるんですか。彼氏さんですよ」

うみが調子にのっていう。

「彼氏?私彼氏なんていないよ?誰のこと??」

「…?」

2人は一瞬顔を見合わせて少し考えてから私に言った。

「もう(笑)忘れたなんて言わせないよー。ほら、市田くん」

「ちょうど事故の週の水曜日に告られてOKしたって言ってたじゃん」

え…なんのこと…?

「私、そんな話、知らない…」