「駄目だよ。そんなことしたら」

はっ。と我に返る。

背中から汗がすぅーと引くのが分かった。

背後に誰かいる。

「ユナ、駄目だよ、外そうとしちゃ。ね?」

はっ、はっ。と息がうまくできない。

恐怖で思考が止まってしまっている。

誰だ、こいつは。知らない。でもこいつは知っている。

分からない。どうして私はここで・・・。

「ユナ?どうしたの?具合が悪い?」

顔を近づけてきた。

「やぁぁぁあああ!」

大声を出して見覚えのない男を突き飛ばした。

「痛って。何するの?ねぇ、どうして僕を見てくれないの?」

「嫌だ・・嫌だ・・。助けて、誰かいな・・いの?」

「ユナ?僕はねすごく好きなんだ。君のことが。大好きで大好きで気がおかしくなりそうだよ。」


こいつは何を言っているんだ。おかしい。

「ユナ、僕は君を殺して僕だけのものにしようと思っているんだ、だけど君が痛いのが嫌いっているからこうしているんだよ。」

何を・・言っている。こいつは何を喋っている。

「だけど、違うんだね、ユナはそんな僕の気持を分かってくれない。だったらコそりてしまえばいい。そうだよね。」

その瞬間男が手にしたのは鋸だった。

「や・・・だ・・・。何・・・。死に・・・たく・・な・・」

言葉が途中で消えた。

全身に伝わる痛み、床にたたきつかれる鈍い音。

私は全て悟った。

あぁ、私は愛されすぎて殺されるんだと。

もう、帰れないのだと。

そして意識を手放した。