啓志郎の家の門の前で、ボクはチヨさんにこれまでのお礼を言った。



「もうこんな風に来るのは、やめようと思って、今日は、チヨさんに挨拶に来たんだ」



ボクを見つめるチヨさんの瞳は、驚きから悲しげになっていった。


「あら。まぁ…。…でも、そうよねぇ…」


と、家の方をチラッと見てため息をついた。


「何度も来てくれてたのに、ごめんなさいねぇ、啓志郎お坊ちゃまったら…」



「いいんだ!勝手に来たのはボクだから」



ボクは、チヨさんの目を見て、ニコリと微笑んだ。



そして、さらに“決心”を強めたんだ。