我妻教育〜番外編〜

吸い寄せられるように講義をする綾人さんの姿を見つめた。


見つめると、口元は自然と緩む。


なんとなく、分かっている。


白雪が言うことはあながち嘘ではないことに。



そう、いつか、恋だってするかもしれないわ。





―――……待ってれば転機は訪れる?



―それは、わからない。


私に関して言えば、自分から動いた訳では決してなかった。



人に恵まれただけだ。


周囲の人に恵まれて、動くきっかけをもらったの。



私一人の力は微力だけど、周りの勢いに追い風を受けて踏み出せた。



私も越えて行きたい。


少しずつ明日を変えていく。


ここから未来へと踏み出して行く。


足取り軽く、小さくて歩みの遅い私でも。





~第二話【完】~