我妻教育〜番外編〜

「人前に立つのって緊張するね」

綾人さんは、ちょっと困ったようにはにかむ。



「ええ、わかります」

緊張をほぐして差し上げなくてはと、私は力強く笑って見せた。



綾人さんは、ニコリと笑って言った。


「緊張するけど、良い講義にできるよう頑張るよ。

ここまでサポートしてくれて、感謝してる。

琴湖ちゃん、君がグリーン☆マイムに来てくれて、本当に嬉しいよ。

ありがとう」



待ちわびた学生たちの拍手にかき消されそうになったけど、なんとか聞こえた私への感謝のお言葉。


改まった台詞をさらりと言われて、あまりに不意討ちだったから、しばらく放心してしまった。



綾人さんは、講義を始める。



頬を押さえた。


時間差でジワジワ嬉しさが込み上げてきた。




私が心をこめてデザインしたTシャツ。


今日、綾人さんも着用してくれている。



孝さまは、日に焼けた逞しい身体に一枚で着用されてて、とても魅力的だった。


綾人さんは、Tシャツの上にジャケットを羽織っていてとても上品。



まったくタイプが違うけれど、孝さまも綾人さんもどちらも素敵。


どちらも、王子様だわ。