「起き上がって大丈夫?」
綾人さんは、私を気づかう。
綾人さんの顔を直視することができず、私は目を伏せた。
「ええ、もう。
熱も下がりましたから、もう大丈夫ですわ。」
「ホントだ。顔色もずいぶん良くなったね」
「ええ。院内を散歩する許可も出てるんです。
まだ行ってませんけれど。
明日にも退院だそうです」
「そうか。良かった」
少し沈黙してから、
「せっかく、渡航の準備をして下さったのに、こんなことになってしまい…
ご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ありませんでした」
私は、綾人さんに頭を下げた。
合わせる顔がなくて、下げた頭を上げることができなかった。
「頭を上げて。謝る必要はないよ。
今は自分の身体のことだけ考えて?
だけど、残念だったね。
せっかくあんなに準備したのにね」
「…いえ、」
…あんなに、準備…か。
うつむいたまま、苦笑いした。
「綾人さん、入院当日からお見舞いに来て下さってありがとうございました。
私ったら、情けないところばかり綾人さんに見せてしまってますわね。
孝さま孝さまって、子どもみたいに口走ってしまって、お恥ずかしいですわ。
熱で、変に気が高ぶってしまっていたのかしら…」
綾人さんは、私を気づかう。
綾人さんの顔を直視することができず、私は目を伏せた。
「ええ、もう。
熱も下がりましたから、もう大丈夫ですわ。」
「ホントだ。顔色もずいぶん良くなったね」
「ええ。院内を散歩する許可も出てるんです。
まだ行ってませんけれど。
明日にも退院だそうです」
「そうか。良かった」
少し沈黙してから、
「せっかく、渡航の準備をして下さったのに、こんなことになってしまい…
ご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ありませんでした」
私は、綾人さんに頭を下げた。
合わせる顔がなくて、下げた頭を上げることができなかった。
「頭を上げて。謝る必要はないよ。
今は自分の身体のことだけ考えて?
だけど、残念だったね。
せっかくあんなに準備したのにね」
「…いえ、」
…あんなに、準備…か。
うつむいたまま、苦笑いした。
「綾人さん、入院当日からお見舞いに来て下さってありがとうございました。
私ったら、情けないところばかり綾人さんに見せてしまってますわね。
孝さま孝さまって、子どもみたいに口走ってしまって、お恥ずかしいですわ。
熱で、変に気が高ぶってしまっていたのかしら…」

