必死で母を見つめ、訴えかけた。


「これほどまでに、ちっぽけな私が、そこまでたどり着くことができたなら、きっと、今まで見えなかった何かが見えるようになる。

だからこそ行きたいんです」



母は、ため息をつき、私から目をそらした。


「言いたいことはそれだけ?」


「お母様…」



「帰りますよ」


冷たく言い放つと、クルリと背を向け母は歩き出した。



ここまで必死に思いを伝えて、それでもわかってくれないなんて…。



身体中の力が抜け落ちるくらい、ひどくがっかりした。


もう、本当にダメなんだわ。


やっぱり、私は変わることなんてできない…。




「待って下さい」



後ろから、母を呼び止める声がした。


それはとても優しく強い声だった。