我妻教育〜番外編〜

隠し事ができない綾人さんと会うのが少し怖いと思っていたのに、私は自らまたここへ来てしまった。


なぜ…?



私は再び紅茶に視線を落として、綾人さんに尋ねた。


「私が、心を開いてないなんて、どうしてそう思うんです?」



「う〜ん、そうだなぁ。
例えば、琴湖ちゃん、人前で、泣いたことないでしょ?」


「ええ」


ないわ。

あるわけがない。


人前で、神経を高ぶらせたりなんて、そんなことできない。


一人のときでさえ、泣くこともないのに。



私が家出をしたら、家に泊めてくれる人はいるはず。

私も泊めて差し上げられる。



だけど、人前で全力で弱音を吐吐くなんてことが、私の人生にありえはしなかった。