綾人さんは、少し考えるように目を伏せた。
「桧周くん、何度もここに足を運んでくれてたんだ。
孝市郎とも電話で話したり。
かなり具体的に出発する計画が立っていたから、本人の希望と、家庭の事情が合致しないのは不幸ではないんだろうけど、残念ではあるよね。
どちらを選択すれば正しいのかなんて、わからない。
ただ、自分の思い一つで生きていける人間なんて誰もいない。
だから、やりたいことができるオレは本当に恵まれていて、本当に幸せだ。
…って孝市郎も言ってたよ」
やりたいことができる人は幸せ。
どこか人ごとのような目線で言うから、
「では、綾人さんはどうです?
やりたいことはできていますか?」
「桧周くん、何度もここに足を運んでくれてたんだ。
孝市郎とも電話で話したり。
かなり具体的に出発する計画が立っていたから、本人の希望と、家庭の事情が合致しないのは不幸ではないんだろうけど、残念ではあるよね。
どちらを選択すれば正しいのかなんて、わからない。
ただ、自分の思い一つで生きていける人間なんて誰もいない。
だから、やりたいことができるオレは本当に恵まれていて、本当に幸せだ。
…って孝市郎も言ってたよ」
やりたいことができる人は幸せ。
どこか人ごとのような目線で言うから、
「では、綾人さんはどうです?
やりたいことはできていますか?」

