家族一緒に住んでいる。

仲が悪いわけではない。

だけど、父も母も個人主義って感じだから。


食事を家で取らず、外食で済ませてくることも多いようだし。



だから、若葉くんたちが来てから、家で誰かとともに食事することが、とても久々な感覚だった。



兄は、手で隠すことなく大きなアクビをした。



「お兄様?食卓でアクビなんて、お行儀が悪うございますわよ」



「…琴湖ォ〜、お前まで小百合さんみたいなこと言うなよォォ」


兄は、目をこすりながら、うんざりしたように口を尖らせた。


いつも、ご婚約者の小百合さんから些細なことでも注意(小言?)を言われているみたい。


家元になろうという人なのに、注意される兄が未熟者なんだと思うんだけれども。