そばによると意識はなくて、

あったのは、

痛みに歪んだ顔と

赤い赤い血のいろと

血の鉄っぽい臭いと

星羅の柔らかいあの匂いと

熱いアスファルトの臭い、

タイヤ痕…


全てが混ざってクラクラする。

吐き気がする。


「…おかあ、さんっ…?」


「おい、マジでか?

おい、お父さん! どーすんだよ!」



「お父さんっ!」

ハッと我にかえる。


「晴樹、き、救急車!急げっ!」

「わ、分かった!」



俺は星羅の元へ駆け寄った。