「星羅こっち来て。」
手招きする斎藤についてくと
防波堤の上で斎藤は止まった。
「ほら、ここ座ってみ」
…ここ?
斎藤の隣に私は座った。
……
うん。綺麗だよ?
分かるけど。
…で?
「おっ、ほら!くるよ!」
斎藤が海をさして大声を上げた。
私も顔をあげると…
地平線に沈む夕陽が海に反射して
空は上にいくに連れ暗くなる。
…心が弾んだ。
なんともいえない幻想的な風景で、
本当にこんな綺麗な景色あるんだって、
今までの辛さや痛み、後悔とか不安。
そんなものが全て溶かされて海に流れ込む感じ。
「…な、綺麗だろ?
…って星羅?!」
え?
「なんで泣いてんだよ?!」
泣いて…?
…確かに私の頬には一筋の涙が伝ってた。


