式が終わっても


賑わいは増すばかりで







カメラ片手に

駆け回る友達の中を




くぐり抜けて


あたしは 同じ部活の

先輩のところに向かった。








「美奈子せんぱい!」









美奈子せんぱいは、


あたしのお姉ちゃん的な存在。










優しくて



頼りになって




憧れの先輩だった。












だけど、そんな先輩に




お祝いの言葉を言う余裕さえも無くて







ただ 息を切らすあたしを


美奈子せんぱいは

心配そうな目で見てた。








「洋ちゃん、大丈夫?どした?」







美奈子せんぱいが

あたしの顔を覗きこむ。










「……先輩は,,,
 どうして いないんですか?」








やっと 一言だけ

話すことができた。








普通なら わかるはずもないのに



美奈子せんぱいは その一言で



あたしの心の中も


全部理解してくれた。











美奈子せんぱいだけは、




あたしの気持ちを知ってる。











せんぱいの表情が、

少し淋しそうに見えた。