勇たったネロリアの後を追って、家に着く。
見慣れた自分の家のはずなのに、今はなんだか別の場所にいる感覚だった。
「ルニアが変わったからそう感じるだけじゃない?」
察したようにネロリアが振り向く。
高い位置に結い上げられた髪がフワッと舞った。
ネロリアの手には、真紅のドレス。
ぴったりだと思った。
「ルニアは淡い色が似合うけどさ、あたしは淡い色似合わないんだよねえ」
「ネロリアは濃い感じだもん。そのドレス、似合うと思うよ」
「ありがと」
着付けを手伝って昼食をとれば、イヴがいつ迎えに来るのかそわそわしはじめる。
まだかな、まだかな、そう思っていた時。
ーーーーコンコンコン
来た。
イヴだと思うと心拍数が上がって、思っていたように動けない。
「ルニア、開けるよ?」
「お、お願い」
ネロリアが半ば呆れながらも扉を開くと、そこにはやっぱり王子様が立っていた。
「あんた、誰?」
「ルニアの友達のネロリアです。この度はご婚約、心よりお喜び申し上げます」
「そうか。ルニアはいるんだろ?」
「ええ。真っ赤な顔をして佇んでおりますわ」
「アハハハ。ネロリアと言ったか。面白い奴だな、ルニアの友には勿体無いくらいだ」
イヴはネロリアとひとしきり笑あったところで、ひょっこりと顔を覗かせた。
笑い過ぎで頬がピンク色に染まり、涙目だ。
「そこにいたか、ルニア。こっち来い。もう行くぞ」
佇んでいた私に手招きをする。
「あ、うん。ネロリア、後でね」
「はあい。ルニア、やらかさないように気をつけるんだよ?」