「なんだ、イヴラリオじゃないか。隣の子は、ルニアちゃんだね」
「お、お初にお目にかかりますルニアと申します!」
「あっはっは、そんなにかしこまらんでもいい。気楽に肩の力を抜いて」
「は、はい」
王様は、庭師のような格好をしてて、ふくよかなお腹を揺らす。
「レグラ、俺は此奴と婚約したい。許すか?」
「私は構わん。ルニアちゃんの噂はしっかり届いておるぞ」
「ッ………私、婚約、ですか?」
「なんだ、ダメだったか?」
「私なんか…その、王子様と婚約できる身分じゃ」
「自虐的になるな。固定観念に囚われんな。恋と身分は関係無い、俺はルニアが好きなんだ」
嬉し涙が頬を伝う。
イヴは頬を赤らめながらも、好きだと言ってくれた。
身分は関係無い、好きなんだって。
ずっと、王子様には憧れていた。
自分に自信のなかった私が育ったこの国の、堂々としててカッコイイ王子様。
別次元だと思っていた。
私が恋い焦がれるのも許されない相手だと思っていた。
ただ純粋に、嬉しかった。
「私でよければ、喜んで」