「ほらココだ。待ってるから、腹の痛み、治してこい」
「ご、ごめんなさい。…ありがとう」
王子様に敬語を使わないなんて、反逆罪で捕まりそう。
そんなこと言ったらネロリアに笑われるんだろうけど。
イヴと離れて、トイレに入る。
中は凄く豪華な造りで、使うのが申し訳なかった。
お腹の痛みは緊張からなので、トイレに来てもすることがない。
「えと、どうしよう…」
すぐに出たら、怪しまれるのかな?
少しはここで大人しくしてた方がいいとか。
洗面台の前に取り付けてある金のふちの鏡を覗く。
そこには、どこか鬱な表情を浮かべた私が映っていた。
…こんな顔をイヴに見られてたなんて、罪悪感に苛まれる。
とりあえず、笑顔!
頬を両手で持ち上げて、鏡の中の自分を笑顔にした。
笑顔は作るものじゃないっていうのはわかっているけど、嘘も方便っていうし。
自然に笑えるようになるまでは、作っておこう。