着いた先は、やっぱりお城。
いつ見ても大きくって綺麗だ。
「イヴ、今日は何をするのですか?」
「城の奴らに紹介する。それと、敬語やめろ」
「あ、はい」
返事に敬語をまた使ってしまった私を睨みながらズンズンと迷うことなく歩いていく。
紹介って、誰にだろう?
私、変なことしたっけ?
…ありすぎて、怖い。
「おい、どうした?」
「そ、その…お腹痛くなってきたっていうか」
「…大丈夫か?」
訝しげにジッと見つめられるのは耐えられない。
でも、変だったよね、今の。
あーあ、帰りたい…
王様に怒られるのはやだよ。
そんなことを考えていると、急に身体が宙に浮いた。
「ひゃっ」
「腹痛てえんだろ?トイレまで運んでやるよ」
お、お姫様抱っこ…
王子様に、お姫様抱っこ!
「や、やめてください、恥ずかしいです!」
「なに、腹は治ったのか?」
「あ、いえ、そうではなく…」
「なら、運んでやるってんだから大人しく捕まってろ」
お腹が痛かったのは事実だけど、今となっては胸の高鳴りが腹痛を上回ってる…
頭がクラクラしてくるし、本格的にもうだめ。
イヴのこと、好きだったんだなって頭の片隅で再認識して。
でもやっぱり、嬉しさよりも恥ずかしさの方が大きくて。