「ルニア、信じらんない。」
「っごめん。」
ネロリアは「はあっ」と息をつくと、
「あたしにも責任あったのかなあ...」
「そ、そんなっ!ネロリアは悪くないよ!」
テーブルに肘をついて落ち込んでいるネロリアは、初めて見る気がする。
「あたしね、嘘ついたの。」
「・・・え?」
ネロリアは、ポツリ、ポツリと話しはじめた。
「舞踏会に行くのに顔を変えてほしいって来たルニアを見てがっかりした。
ルニアは街の人には嫌われてない、寧ろ好かれてるわ。
私たちよりもずっと。
ルニアは可愛いし、顔を変える必要なんか全くもって皆無なのにそれに気づかないルニアに失望した。」
失望・・・。
ネロリアは、そんな風に.....
以前からネロリアには自虐的って言われてたけど、流石にこれは堪えるな。
街の人とも、仲はそんなに良くないと思うけれど...
ネロリアにそんな事言ったら、と思うと怖くて言えなかった。
街の人とは買い物ついでにちょっと話をしたりする位だし、仲がいいってほどではないと思うんだけど。
「あたしはルニアにはそのままで舞踏会に行ってもらいたかった。
だから、そのままで行ってもらったの。」
「そのままでって・・?ネロリア、確かに魔法、かけたよね?」
私が質問すると、ネロリアさらに大きなため息をついた。
「あれはかけたふり。
そうでもしないと納得しないでしょ?
鏡を見たらバレちゃうから見ないようにああ言っただけ。
本当は元から魔法なんてかけてなかったのよ。」
返す言葉が、なかった。
ネロリアの思惑は、私の自虐的な所から来ていたのだ。
実際にお城に行っても誰も何も言わなかったし、笑顔で対応してくれた。
それはネロリアが魔法をかけてくれたお陰だと思っていたのだけれど。
そんなこと、なかった。
みんな、凄く優しい人たちばかりなんだ。
「今日ルニアが王子様のこと振り切って来ちゃったって聞いて、失敗したと思ったわ。」
そういうと、ネロリアは肘をテーブルから離してニッコリと微笑んだ。
「明日、会うんでしょ?しっかりとおめかししてあげるから、覚悟しなさい。」
その迫力は、凄かった。