月の光が指しこみ光を受け入れるかのように更に神々しく輝きを放つその毘沙門天に魅入られて中へ歩みを進める。



 しかし戸口の板に足を引っ掛けて思わず躓き前のめりに床に倒れこむ。




 「痛っ………!!」




 暗闇の中手探りにて私は身を起こそうと前方をみた私の前に毘沙門天に手を合わせ座禅を組む姿が慣れない視界に飛び込んできた。



 その人物は真横に琵琶を起きゆっくりと振り返る………。




 ―――そしてその振り返った人物は黒い鎧に身を包み私を見下ろしていた………。




 「ご…ご…ごめんなさい………!!!」



 恐怖を覚えた私は慌てて身を起こそうとした時…目前にゆっくりとしなやかな手が伸びてきた。




 恐る恐るその差し出された手の先を見つめるとそこには得も言われぬ美しい微笑を浮かべる紳士が黒い澄んだうっとりするような瞳で私を見下ろしていた。




 私はその差し出された手をゆっくりと伸ばしてその細く長い綺麗な指にゆっくり触れて手を取ろうとした時…いきなり目の前を奪うような光に思わず目を伏せた。