次の日も、その次の日も、四人は一緒にサークル探しに大学中を回ったが、目当てのサークルはひとつもなかった。


「はぁー、こんなにないもんかね、サークルっつーのは!」

「晃くん、全部に文句つけるんだもん(笑)」

「悪かったね、沙良ちゃん(笑)」

「でも確かに少ないよな~音楽サークル。サックスってのはあったけど、俺と柚ちゃんだけ…」

「蒼くんと私しか入れないもんね、それだと。みんな一緒がいいし…」


いつもの階段で、半ば諦めぎみに四人はグダッていた。


「…ねーねー、楽器、吹かない?みんな、もう今日は授業ないでしょ?」

「柚ちゃんナイス!!じゃー俺ら楽器もってくるわー!!おら!蒼!」

「はいはい(笑)張り切るな~お前(笑)」


一時間後、中庭の噴水前に集合と約束をして、四人はそれぞれ寮に向かった。







「よし、何吹こっか!はい!沙良ちゃん!」

「はいって…楽譜もないよ?晃くん。」

「じゃあ……ちょっととりあえず、みんなミッキーマウスマーチとかなら吹けるんじゃない?」

「あははっ!柚ちゃん選曲がかわいーねー!(笑)でも蒼もそれなら高校で吹いたよな?」

「吹いたよ。でもそれくらい吹いた事なくても吹けるでしょ。」

「あらー男前(笑)じゃあ、いくよ!ワン、ツー、スリー…」


大学のど真ん中で、四人で即興ミッキーマウスマーチを大音量で演奏した。

…選曲幼すぎたかな?(笑)
みんな見てる、ちょっと恥ずかしい…


でも、すごく気持ちいい…!!



曲は簡単で単純でも、サックス二本、トランペットとトロンボーンでのバランスは、絶妙。

四人の周りには、自然と人が集まった。
演奏が終わると同時に、少しだが拍手が貰えた。



「…てかみんな上手すぎでしょ!(笑)沙良ちゃん、ラッパさいこー!」

「晃くんも!トロンボーンに乗っかるの、すっごい気持ちよかった!!」

「蒼くん、凄いよ…(笑)」

「柚ちゃんこそ、何者?(笑)」

「うっわ~みんな音大なんで行かなかったのー!俺、ミッキーマウスマーチで鳥肌立ったの始めてなんだけど!(笑)」




こんなに気持ちのいいアンサンブルをしたのは始めてだった。
部活を辞めて以来、人と一緒に演奏した事がない柚にとっては、今までで1番の演奏だった。


四人共、口々にお互いを絶賛し合った。



そんな中、冷静な蒼の一言で皆が黙った。



「てかさ、これ俺らだけでサークル作ったら?」







誰もこの意見に異論はなかった。