「なに?」


「流奈、守サンって人とお付き合いしてるの?」


「はっ?なんで?」



「今、電話来たのよ、随分丁寧な人なのね、近々挨拶に行きたいって」


「は?話したの?」



「向こうから電話で話し始めたから」



「そう………」



あたしは部屋に閉じこもった。



“本当に何考えてるか分かんねぇ”



守の気持ちは掴めないままだった。



好きでいて貰ってる訳でもない


あたしもそんな感情なんてない



守にとっても
沢山居る女の中の1人のはず。



あたしだってそう。



お互いに仮面を被ったままの2人は………



お互いに自分を封印したままだった。



親と守が話すようになった頃になると


仕事が終わって1時間かけて守はあたしをバイト先まで迎えに来る日々が続いていた。



そのうち…
週末になると親に了解を取り朝まで一緒に居るようになった。



だから土曜日は守の為だけに開けておいた



それでも好きだの、愛だの何も語らない関係――



あたしはそんな不思議な守に、気が付くと夢中になっていた。



好きだからじゃなく―

人間として守に興味を持ったんだ。





お互いがこの頃は
今まで出会った事のない相手におもいきりゲームを楽しんでいたんだろう。



そしてお互いが
それを分かりつつあった