君の隣で~☆星空☆続編~【完】

「翼、ごめんね。今までの流奈を見てて軽蔑してたでしょ?呆れたでしょ?
“最低な女だ”って思っていたよね」


そう涙を流しながら笑い、空に向かって話し続けた。



「でもね、そうするしかなかったんだ。流奈は一生懸命、翼の居なくなった現実から逃げる事でいっぱいだったの」



「でも流奈、ずっと笑っていたでしょ?翼の約束守れてたよね」



そう言葉にしながら体を起こし海を見つめた。



「意味、ないよね……心から笑わない笑顔なんて」



辺りはもう暗く、


夜景がとても綺麗に輝いていた。



「翼?流奈ね、赤チャン出来ちゃったんだ。こんな事聞いたって翼は知らねぇ〜って感じだよね。でも……もう1度、流奈も赤チャンと生まれ変わろうと思うんだ。もう1度スタートしよう…って、少しだけね“翼の生まれ代わりだったら”って思ったり、馬鹿な女だよね」



そう言いながら、ただずっと海を見つめていた。



波の音だけが強く鳴り響きあたしの耳に残っていた。



“………えっ???”


誰かに肩を叩かれた気がしてあたしは振り向いた。




一瞬……



ほんの一瞬だけ、


“翼かもしれない”そう思った自分に笑えた。



「あっ、こんにちわ」


そこには、あのタクシーのおじさんの姿。


おじさんはただ海を見つめて微笑んでいた。


「なんで、なんでここにいるの?」


そう言うと、あたしの横に腰を下ろした。



「……娘の代わりにだよ」


「娘っ……?」


「そう、お嬢ちゃんよりはもっと年だけど、今生きてたら二十歳かな」



「…………」


“翼と同じだ……”


そう思いながらも何も言葉をかけられないあたしがいた。