君の隣で~☆星空☆続編~【完】

あたし達は黙ったまま電車を降りた。


雄也とやって行く自信なんてなかった。


頭の中で色々な事が葛藤する中あたしは口を開いた。



「理恵……流奈、行く所あるから!!」


そう言って階段を先に上り改札を出て、切符を買いまたホームへと向かった。


「流奈っっ!!!」


理恵の声が響いたが……


あたしは笑顔で手を振り、電車に飛び乗った。




“行かなくちゃ……”



そう思いながら電車の中から外の景色を目で追った。



“今、行かなくちゃ……”




そして、あたしがずっと行けなかった場所に辿りついていた。




1歩ずつ、

1歩ずつ、


ゆっくり歩いた……。


そして、あたしは3年ぶりにいつもの場所に腰を下ろした。



あの日以来、近付けなかった場所にあたしはいた。



もう風も冷たく、


―秋の海だった―


翼と2回目に来た秋の海……。


3年も経っていたのに、どこか懐かしい匂いがした。


あの日、秋の海で



未来を約束した翼との思い出が蘇って来ていた。


目を瞑るとその光景が思い出され、



あたしは唇を噛み締め久しぶりに空を見上げた。



その瞬間、



あたしの目から涙が零れ落ちた。



凄く綺麗な星空で、


自然と涙流れていた。


“泣かない、泣いたら駄目……”


そう一生懸命、自分に言い聞かせてるのに


あたしの涙は止まる事がなく、



ただ、ただ、溢れるばかりだった。