それから、あたしが外に出るのに必要なものは“時間”だった。




翼のいる海から戻ったあたしは、




翼のいない世界に足を踏み入れる事さえ恐くて脅えてる日々……。




「ばっかみたい!」




あたしが外の世界へと、また足を踏み出したのは理恵からの怒りを表した一言。




その言葉を投げ捨て、あたしの部屋から出て行った理恵の後を追うように……



ベッドの上に綺麗に置いてある思い出の写真を抱え、

翼のいる海へと逢いに行った。




翼と最後に撮った数々の写真……



あたしの中で“永遠の思い出になる”



そう、素直に思ってずっと開けられずに大切に自分の傍にいつも置いていた。



だけど……



翼のいる海で開けた数々の写真は……




あの翼の笑顔がなかった。



翼が最後に残した
あたしへのプレゼントなのに……


翼は何かを決心したかのように、



言葉では表せないほど、


とても、とても悲しい顔をしてた……。



これが本当の翼の姿だったんだって……


衝撃や憎しみ、怒り。


傷を負ったばかりの、あの時のあたしには、


知る由もなく……。



翼の笑顔のない、悲しい顔をした手の中にある真実の姿を写した写真を見て……



あたしは、また変わり始めて行った。




“あたしが翼を殺した”