――12月30日――



「ママぁ~!!起きてぇ!!雪が降ってるーー!!」


「ママぁ~おきてっ!!きれいだよ!!!」




愛と千夏の声で起こされ、あたしは2人に手を引っ張られながらベランダに出た。




「うわぁ~☆本当だね~綺麗ーーー!!」



愛と千夏がはしゃぐ横で、空から降り注ぐ雪を見つめていた




“翼からのプレゼントかな”




翼がこの世を去って10年目のこの日は綺麗な雪が降り積もっていた




真っ白な景色の中で
あたしは胸を痛めた――





まだ何処かで抜け出せない闇の中にいる自分。




この真っ白な雪と共に
あたしの心まで綺麗にしてくれたら……





そう少しだけ思った自分がいた。




「愛っ!千夏っ!外行こう~!!」



「うん!!」

「わぁぁーい!わぁーい♪」



大喜びして用意し始めた2人を見ながら、窓にそおーっと目をやった。




“翼……本当に雪だよ”



昨日の星空が幻かと思う位に降り続いていた