「ただいまぁ~!!!」


守のその声を聞いた瞬間、鳥肌がたち、あたし達の部屋の空気が凍りついた。




分かってるよ……

あたしにだって……



何かに、つまずき辛く苦しい時に


何かを埋めたくなる



心が埋まらない事なんて承知なのに



それでも、何か違うもので埋めようとする。





人ってそんなには、強くないから、


笑顔の裏にはみんな悲しいものを背負っているから。




だから必死になる事くらい



あたしにも良くわかってるんだ。




それでも、あたしはそんなに出来た女じゃない、



守の過去を背負う余裕も、



守の笑顔の裏側にある真実の顔を受け止めるほど、出来た女でもないし



守の行動を目を瞑ってあげられるほど、大人でもないんだ







「恩田サンとは楽しめた??」



そんな言葉を微笑みながら守に問い正したあたしは




自分の人生さえも、笑い飛ばしていた。