「流奈!!カメラは?」


トイレに閉じこもっているあたしに、守が問いただした


「バッグの中」


「千夏が笑ったんだよ!!ねっ?愛チャン!!」


「えっ……!!!」


あたしはトイレから慌てて飛び出し、千夏を抱いている守の元に駆け寄った



「しーーーっ!!!」


守が座って千夏を抱き、片手にはカメラを持ちシャッターチャンスを伺っていた



愛もあたしに笑いかけながら、千夏を見つめてた



「ちなつ~~!!」
「ちーチャン……。」
「ちなつぅ!!!」


3人で一生懸命、声をかけ始めた




「あっ!!!!」


暫くしてから、その声と共に千夏は笑い、守はシャッターを押した。



「バッチリ!!!」


愛の頭を撫でながら、守は愛しい顔で千夏を抱きしめた



守の腕の中で笑う、千夏……



その姿にまた、色々な思いが溢れ涙が止まらなかった



「愛と千夏だったんだな」


「何が?」


「もう1度、やり直す事ができたのは2人のお陰なんだな……」



そう、千夏を見ながら守が声をもらした。



「そうかもしれないね。千夏が必死にあたし達を繋ぎ止めようって、泣き続けて伝えていたのかもしれないね」



「そうだな……不安だったんだよな、恐かったんだよな……ごめんな」



そう言いながら、あたし達は千夏を囲み笑い合った





どの位ぶりなんだろう―――


こうしてみんなで笑っていられるのは……


千夏が一生懸命繋いでくれた家族というものを



あたし達は痛いほど、噛み締めた日で



この日初めて、守と千夏の2ショット写真を撮った



守の腕の中で微笑む千夏は幸せそうだった。