あたしは千夏を抱いて看護婦サンに病室の移動を申し出た


「個室に移して貰えますか?」



「ちょっと待ってて」



新生児室にいた看護婦サンがしかめた顔をしながらその場を離れた。




あたしは泣き止まない千夏をあやしながら声をかけた




「いいわ、用意するから少し待っていてね」



それから30分位してから新しい部屋に案内された



あたしの隣には小さな千夏のベッドが並べられていた



「ママ、ずっと千夏の傍に居るからね」



そう話しかけながら、必死にオッパイを吸う練習をさせた



何時間も何時間も……



あたしは千夏に向き合い一生懸命飲ませる事だけに集中していた。



「飲まないとね、大きくなれないんだよ……」



涙が出そうになるのを、必死に堪えながら赤い目であたしを見つめている千夏に沢山話しかけた。



口を開いても吸う事を覚えてくれない千夏……


泣いてばかりで眠る事もしない千夏……




あたしは自分との葛藤が始まっていた。




ずっと抱っこしてる手は痺れていたけど、それでも必死だった。




千夏の不安を取り除く為に


千夏にかけたストレスを取り除く為に……



何かを忘れたかのように、千夏とずっと向き合った