「しっかりするのよ?この子も頑張ったんだから」



「はい」


「名前は決めたの?」



「いや…………」
「千夏です……」



先生の会話に守が割り込んで来た。



“え………?”



「千夏チャンね!可愛い名前ね~!!」



何も聞かされてなかったあたしは動揺しながら守を見た



守はあたしの中にいる、小さい赤チャンを今までに見た事のない笑顔で見ていた。



“千夏、千夏だって!パパがつけたんだよ!!”



そう心で呟き、あたしは千夏の手を握った。



「様子を見てから千夏チャンを新生児に移すからね。それまで可哀相だけど授乳出来ないからオッパイ搾って持って来てね」



「はい」



先生から難しい言葉で、千夏の状態を聞きながらあたしは病室に戻った。




「じゃぁ、俺は戻るな」




何処に戻るのだろうか……




あたしは聞きもせず笑顔で笑った




その日も、守の携帯が繋がる事もなかった




あたしは一生懸命ただ、ただオッパイを搾り続けた




千夏の為にしてあげられる事がこれしかなかったから




夜中になると、同じ病室にいるママ達が嬉しそうに授乳に行く時も



あたしは1人病室に残り必死に千夏の為にオッパイを搾り続けた。