「あれ??さっきまで旦那サンいたわよね?」



そう―――。


やっぱり幻だったんだろう……



「分娩室に入るの知っていて帰ったのかしら?」



「いいです!もう行っちゃって下さい」



そう話すあたしの、目の先には同じ位に分娩室から出ただろう夫婦の姿が目に入った。




奥サンの車いすを押す旦那サンの姿……




その背中からも痛い位に愛情が伝わって来る。





あたしは目を反らし下を向いた




“悲しくなんてない”



“生まれ変わるんだ”




―生まれ変わろう―



二度目の出産で
またあたしは新しい自分が出来上がった。




平成14年3月31日




あたしはこの日に2人目を出産した。



そして……



この子と共に、あたしもまた生まれ変わった。





冷めた人間に……ーーーー。