「1………2………3……………5……………9…」


目を潰りながら、ただ数を数え始めた。



このまま眠りについて
起きた時には長い夢から覚めなきゃ……。



そう思いながら、必死に数を数え始めた。




「先生!!早くお願いします!!」



女の人の声に閉じてたあたしの目が見開き……



そのまま現実へ引き戻された。




「赤チャン……あたしの赤チャンは……?」




バタバタバタとあたしの横を、通りすぎる看護婦の洋服を掴んだ。




「赤チャンは……!?」



あたしは笑っていたのだろうか……



それとも酷く魂の抜けたような顔をしていたのだろうか………


看護婦サンはあたしの顔を見るなり引き攣っていた。




「大丈夫よ、大丈夫だから……」




そう言いながら彼女もまた小さいベッドに近付いた。



「離せよ、離せーーーー!!」



あたしは足を必死にジタバタさせながらベルトを取ろうとした。



体力なんて余ってなんかない、出産直後のあたしは必死に分娩台の上で暴れた。




「ちょ、ちょっと!何やってんの!!!落ち着いて!!」



先生があたしの体を2人がかりで押さえ付けた。




「大丈夫だから、落ち着いて……落ち着くのよ!」



自分がい居る状況があまりにも悲惨すぎて……


泣けもしなかった。



「ねぇ?あたしの赤チャン……死ぬの……?」


その言葉に回りにいた医者の間には冷たい空気が流れて、静けさだけが残った。


「………大丈夫よ!今見て貰っているから大丈夫!」



「死ぬの?」


「大丈夫よ、落ち着いて」




「お願い……お願いだから助けて……お願いだから死なせないで」



震える体を押さえられながら



何度も何度もお願いした。