「大丈夫か?」

病院に着いた時に守があたしにかけた一言。



“大丈夫なわけ……”



そう思いながら、あたしは引き攣った笑顔を守に向けた。



病院で手続きを済ませると看護婦サンが診察室へとあたしを連れて行った



ズキズキと痛むお腹をかばうかのように前かがみになる、後ろを振り返ると守は親方と話しに夢中だった。



寂しさが襲う心の中を必死に消し去ろうと感情を押し殺した。




いつからだろう――?



あたしはこんなにも
自分を押し殺す事が出来るようになったのだろう



まるで、リモコンで設定が出来るような機械みたいな心。



「そこの内診台の上に腰かけておいてね」


「はい」



あたしは下着を脱いで内診台を跨いだ。




「はぁ……!!」


子宮を掻き回されてるような痛み、先生が指を突っ込み内診をしてる。


「あーーっ…………」



1度経験していても、この痛みにはやっぱり耐えられない。



「まだまだだなぁ………赤チャン下りて来てないな、ちょっと陣痛の間隔を調べるからベッドに寝て」



先生の言葉にあたしはショックを隠し切れなかった。



“まだまだか………”



これが陣痛だと思っていたあたしはショックを隠せなかった。




先生があたしのお腹に陣痛の間隔を計る機械をつけてる間、あたしはこのまま出産に持ち込んで欲しいとただ願うばかりだった。