「う~みはひろいなおおき~なぁ~!!つ~きがのぼるし~ひがしずむ~」



愛が大好きな大好きな、



海の歌―――



「う~みにおふね~をうかばせて~いってみたいな~よそのく~に!」



あたしの背中でご機嫌に歌ってる愛。



「ママ?よそのくにってなに?だれがいるの?」



「えっ?よそのくに?」



「だれがいるんだろうね」



“翼…………”




愛の言葉を聞いた瞬間に、あたしの頭の中を過ぎったのは翼だった。



“よそのくに―――。”




「……だれがいるんだろうねぇ?きっと凄く素敵な人がいるんだろうね」




「すてきなひと?」



「そう、素敵……」



「わっかんなぁ~い!」



「アハハハッ!!わかんないよねっ!!」




「ママぁ~!またうみいこーねー!」




「そーだねっ!!」




そう言いながらあたしと愛は家へと向かった。



2人で何度も何度も“海の歌”を歌いながら……