「よく頑張ったわね!!ここまで無事に来れたのはやっぱりあなたの強い決心と愛なのかしらね」



予定日が間近に近付いて来た頃、先生は作り笑いではなく心から滲み出てる笑顔であたしに微笑んだ。



「はい!!本当にありがとうございました



「あなたは強い人だわ」


8ヶ月前と同じ診察室に居るはずなのに、あたしの心の中は希望で満ち溢れた。




「………強くなんかないです、ただ命を失う事が恐かったんです」




先生はあたしの目を真っ直ぐ何も言わずに見つめていたが、とっさに目を反らした。



「あなたには逆に色々教えて貰った気がするわ……若いのにしっかりしてるわね」



「……」




「でも、まだ安心してはいけないからね?出産が最後に残された大事なもの!!あなたは喘息も酷いし、安心しちゃ駄目よ?」




「はい!分かってます」



「ただ、赤チャンもまだ全然おりて来てないし、予定日もしかしたら過ぎそうね」



「そうですか」




「後少しだから頑張るのよ」



「はい!!」




あたしは笑顔で診察室を出た。



「よく頑張ってくれたね、本当にありがとう」




そうお腹を摩りながら赤チャンに呟いた。