“足取りが重いって事はこう言う事を言うのかな”
病院までの道のりが、凄く遠く感じる。
あたしは、ドキドキだった。
“大丈夫、きっと大丈夫……。”
そう、自分に何度も言い聞かせながら、産婦人科の待合室に腰をかけた。
お腹の大きい妊婦さん達が、診察室を出入りする中で…あたしの気持ちは酷く不安に襲われてた。
“あっ………”
掲示板に移る、自分の番号を見てあたしは息を飲み診察室へと向かった。
「こんにちわ」
あたしの不安を悟ったかのように、先生は笑顔であたしを迎え入れてくれた。
「体調はどうかな?変わりはない?」
「はい」
別にそんな事を聞きたい訳じゃない。
そんな、あたしの心の中の心境が分かったかのように先生はため息をついた。
「検査の結果だけど………」
その瞬間、あたしは身を乗り出し、見ても分かるはずのないカルテを覗き込んだ。
「やっぱり、検査の結果、癌の疑いがあるの」
先生のその言葉は、あたしの心臓を簡単にぶち抜いた。
死ぬのが恐いんじゃない……
自分が目の前の事実に恐がっているんじゃない……
ただ……
命を失うだけが、恐怖なんだ。
あたしの前から、大切なものがなくなる事……
それだけが、あたしにとって耐えられないだけ。
「子供は産めるんですよね?」
その言葉に沈黙が流れた――
長かった……
先生はどれだけ、長い間口を摘んだのであろう……
そして、時間が経つことがこんなにも長いものだと、思い知らされた。
「よく聞いて」
「………」
先生に目をしっかり見つめてると、先生はあたしから目を反らした。
病院までの道のりが、凄く遠く感じる。
あたしは、ドキドキだった。
“大丈夫、きっと大丈夫……。”
そう、自分に何度も言い聞かせながら、産婦人科の待合室に腰をかけた。
お腹の大きい妊婦さん達が、診察室を出入りする中で…あたしの気持ちは酷く不安に襲われてた。
“あっ………”
掲示板に移る、自分の番号を見てあたしは息を飲み診察室へと向かった。
「こんにちわ」
あたしの不安を悟ったかのように、先生は笑顔であたしを迎え入れてくれた。
「体調はどうかな?変わりはない?」
「はい」
別にそんな事を聞きたい訳じゃない。
そんな、あたしの心の中の心境が分かったかのように先生はため息をついた。
「検査の結果だけど………」
その瞬間、あたしは身を乗り出し、見ても分かるはずのないカルテを覗き込んだ。
「やっぱり、検査の結果、癌の疑いがあるの」
先生のその言葉は、あたしの心臓を簡単にぶち抜いた。
死ぬのが恐いんじゃない……
自分が目の前の事実に恐がっているんじゃない……
ただ……
命を失うだけが、恐怖なんだ。
あたしの前から、大切なものがなくなる事……
それだけが、あたしにとって耐えられないだけ。
「子供は産めるんですよね?」
その言葉に沈黙が流れた――
長かった……
先生はどれだけ、長い間口を摘んだのであろう……
そして、時間が経つことがこんなにも長いものだと、思い知らされた。
「よく聞いて」
「………」
先生に目をしっかり見つめてると、先生はあたしから目を反らした。