「おめでとう。」

海は私の顔をうかがうように公園の芝生に横になった。

「海もおめでとう。私、負けちゃったよ。」

顔が涙を流したせいで、赤くなる。

「ちげーよ。まだわかんねぇし。大会記録とか。」

海の約束は、大会新記録。

ただでさえ足を痛めてるのに、無理がある。なーんて千夏と話してたっけな。

「利歩。13.20なんて余裕じゃねーかよ?俺感動した。走る前に利歩が走ってくれてよかった。」

「うん。ありがとう。」

私は海の隣に腰かけた。