冬に近づく今日、12月。風は肌を刺すように強く吹いていた。
そしてもうすぐこの北の大地にも雪が降ってくる。


そして今日も、私の心は冷たかった。
誰も触れることのできない冷たさ。

昨日も今日も一人。学生時代の学校帰りも狭い道を好んで帰ってた。
私の家には一人ぼっち。親元を離れてから出会いもない。
でも今の私にはそれがお似合いだった。そう思っていた過去。


あの日から、周りにはよく「変わったね・・・」っと言われるようになった。
私は変わりたくて変わったわけじゃない。
あの人に変えられたのだ。

もしもあの日が来なかったら、私たちはまだ一緒にいたかもしれない。
でも、あんなやつが居なかったら、私は明るく生きられたかもしれない。
だからと言って、過去を恨んだわけじゃない。
貴方がいたから、私は変われた。貴方がいたから、視野が変わった。
楽しかったんだ。夏向との恋は。悲しかったんだ。夏向との恋は。
そして一番の驚きは、こんな私が恋を出来たこと。

うまくなんて当然できない。それでよかった。それでいいと言われた。
あんなに惹かれる片想いも初めてだった。

こんな私が。

手と手を取り合う事は潔癖症の私にとっては問題な点だった。
相手は汚い手だったら私の手に菌が移る。
そう思うとすこし嫌な感じがした。

夏向は熱く濃厚に愛し合うことを望んでいた。
私も嫌ではなかった。むしろ、その方がよかった。


夏向は私だけを。私は夏向だけを。


嘘も偽りもないこの恋は私にとっての生きがいだった。
失ったら、私の体も崩れるであろう。そう思った。
すべてを夏向に捧げてもよかった。過去の事はどうでもいい。


ただ、この男との未来が楽しみだった。