彼女はスッ、と頭をあげる。
頬が涙でぬれている。


「さ、桜木さん…?」

「あたしはもう…彼を幸せにはできないんです。」



保健室の話を思い出す。

『…唯人くん、好きです。あたしと…もう一度、付き合ってください。』

『…俺はもうお前とは手は繋げねェよ。』



「あたしはもう…唯人くんの幸せを願うしか彼を愛することができないと…昨日彼と話して、分かったの。」

話していたの、知っているでしょう?
そういう目で桜木さんは私を見た。

バレてましたか…。


「メロンパンをほおばる唯人くんは、いつだって幸せそうだった。あたしは彼のその幸せそうな顔をいつまでも見ていて居たいの…。」

「桜木さん…。」
彼女は本気を彼を愛し、彼を大切にしてるんだ。


「だからお願い…唯人くんの邪魔しないであげてください!!」

彼女が泣きながら私の肩を掴んだ。

「別に…唯人くんを好きなるなとは言ってないの。二人が結ばれたって彼が幸せなら構わない。でも、…愛する事なら他の事でもできるでしょう!?アピールなら他の事でもできるでしょ…!?お願いだから、唯人くんの幸せを奪わないであげてください!!!」



彼女が 泣いてる。


桜木さんが 泣いてる。




私は感情を失った人形のようになった。



今までの私は間違っていたと突き付けられた。



私の心が桜木さんの唯人君への優しさ、愛情で傷つけられる。





もう どうしたらいいか わかんないよ




彼女は泣き
私は泣く事も反抗することも

分かったという事もできず





ただ 立ち続けていた