「ん。」

そんな声が聞こえて、振り向くと、メロンパンをペロリと食べ終わった唯人君がいた。

「ごちそうさまでした。」

そういって独りで手を合わせると、すたすたとどこかへ行ってしまった。

今日は火曜日。

この学校は、火曜&金曜だけは昼休みがいつもより15分長い。

そしてその後、掃除が15分間。

先生ミーティングがあるかららしい。

…そっか。唯人君はいつも、掃除サボってる。


「アイツー、いつも何してんだろーな?」

竹友センパイはしれーっと言う。

「えっ?」

「アイツさぁ。いつも火曜金曜だけはふらーッとどっか行くんだよ。月水木は、そのまま階段を上っていくんだけど。」

「へぇー…。」

「何、紗緒ちゃん。気になるの?」

ななな、何ィッ!?

「い、いや。そそそそそ、そんなわけではっ…!」

「顔赤いよ。」

ナグサメ先輩に、おでこをツンッてやられる。

「うぅ…。」

「なぁるほど。これを世間は恋する乙女と言うのか。」

「こっ、こーーー!?」


「行っておいで。紗緒ちゃん♪」
にこっと笑ってナグサメ先輩はひらっと手を振った。

「行ってきます!」
びし!と敬礼して、唯人君を追いかけた。