たたたたた。
階段あたり。

いつもよりスピードあげて歩く唯人君に、追いつくのは大変だった。


「唯人君、いつもより速いですねぇ。」
「うっせ。」
「ぷぷぷ。」

かーわいい。

「…何笑ってんだし。」
「いや、か、可愛いなー。って。」
「ハァ!?」
「スネてるかんじがさっ!」
「ス、すねてねーよバカヤロー!」
「いじけてんじゃん。」
「イジけてねーし!!」

ハァハァと呼吸をする唯人君。
何必死になってるんですかもう。

やっぱり可愛いじゃないですか。


「つーかァ…、なんか勝手に戦闘放棄した奴に復活初日に奪われたくねェんだけどォォォォ!!」

振り返ってかと思うと、ビッと私を指さしてそういう唯人君。



「いッ、言い訳しないでよ!!私だって復活初日だろうが本気で狙って走ってますけどぉ!!」
「くッ…。」
「悔しいんならもっと速く走ればいいでしょー!?さっきも暑いせいにしてたけど、そんなんいいわけじゃんっ!」
「い、いいすぎだ。」
「甘えないでよねー!?あ~あ、もっと唯人君は誇りある人だと思ってたナァ~。」」

あ、やば。
ちょっと調子に乗りすぎた?
思いついたこと、キレた時に言ってしまう。

…あー、あーあーあー。
なんか唯人君、キ、キレてる?


あああ。
「あ、えっと…。」
言葉が濁る。



ヒュッ
唯人君の手が…

なななな、殴られる!?



「や、っ…!」