きっと燈弥が困ってる。



燈弥は優しいから、泣いてる私をまた仕方なく慰めてくれる。




「まりあ」





燈弥は、グイッと私を引き寄せて抱きしめた。




ほら…やっぱり優しい。



だからこそ、私から離れてあげなきゃ。



今まで燈弥を苦しめたのは私。



もう、私という苦しみから解放してあげなきゃ…。




ごめんね…。





「燈弥、ごめん、ね…。私、もう……」




燈弥から離れようとした時。




「燈……!?」




グッとキツく抱きしめられて、離れることができなかった。




どうして?


どうして抱きしめるの?





「まりあ、お前勘違いしてる」


「え……?」




勘違い…?



どういうことなのか分からない私の耳に口を寄せて、燈弥は小さく…けれどはっきりと言ったんだ。







「俺は、お前が好きだ」






その瞬間、周りの雑音が聞こえなくなって。



周りも見えなくなって。





見えるのは…。





「待たせてごめんな」





そう言って私に優しく笑う燈弥だけだった。